ハッピーエンディングプロジェクト企画作品
どーにかこーにか、最終回放送前までにオンライン企画作品が完成しました。
当初自分のHPにコーナー作ってそっちへ誘導するつもりだったのですが、ページ作る余裕が無くなってしまったので、はてなへダイレクトに掲載します。
読みにくかったりしたらごめんなさい(><)
非常に拙いSSではございますが、いまの彼女たちへの想いはふんだんに詰め込みました。
数日後に放送される本当の最終回とは別の、もう一つの最終回ということで、お読みいただければ幸いと存じます。
『ふたりはプリキュアMaxHeart HAPPY ENDING PROJECT ありがとう&あいしてる』オンライン企画作品
「ありがとう&あいしてる、そして…」
早咲きの桜の華が舞い散る三月。
ここ関東にあるベローネ学院では卒業式が執り行われていた。
比較的都心にある学校としては広い講堂からは式を粛々と執り行う司会の先生方の声と、答辞を詠む生徒たちの声が漏れ聴こえて来ていた。
「それでは次に校長先生より卒業生のみなさんへのお言葉です」
司会の先生の紹介を受けて上手より登場し、壇上に用意されたマイクの前に立つ校長。
口元より若干高くなっていたマイクを気持ち下に向けなおしながら、あーあーと軽くマイクのテストを行い声の加減を調整しながら話し始める。
「本日は晴れてこの学びやであるベローネ学院を卒業する………」
講堂に満遍なく伝わり響く校長の言葉。
それは淡々と落ち着いた喋り方ではあったが、声はどことなく沈んだ印象にも受け取れた。
ここベローネの卒業式は三年生だけではなく一年生から二年生までの全校生徒が集い行う。
スチール製のイスがこの広い講堂すら狭しとでも言うように整然と並べられ、その用意された席には学院関係者すべてが着席をし、いまは校長の言葉を静かに聞いていた。
ただポッカリと空いた三つの席だけを除いて…
「ねぇねぇねぇ莉奈、なぎさと雪城さん本当にどこ行っちゃったんだろう」
志穂は自分の丁度後ろ側に座っている莉奈に少し顔を向けながら話し掛ける。
「…うん」
莉奈は壇上で話をしている校長から目を離すことなく志穂の問い掛けに少し間を置いて答えた。
「卒業式にも出てこないなんてやっぱやっぱやっぱ何か大変なことに巻き込まれちゃったんじゃ」
「大変なことって何よ」
「例えば例えば例えば、ユーカイとか」
「誘拐? だったらとっくに身代金とか要求されてるでしょ。 なぎさのお母さんの話だとそういう連絡は一本も無いって言ってるし」
本人は出席していないものの、せめて代わりに卒業式をと参加しているなぎさの両親の座っている席の方をちらりと見つめながら莉奈はそう答えた。
「…知らないわよ」
表情にこそ特別な変化は無かったが、莉奈が語った言葉の中に強く何かを耐えているようなそんな印象を受けた志穂は、もうそれ以上莉奈に話し掛けることは無かった。
時は、あのジャアクキング復活の時から一週間を過ぎていた――――――
*********************
唯一闇に対抗できる力、スパークルブレスを破壊されてしまった二人には、完全復活を遂げた巨大ジャアクキングに立ち向かう手段は何も残されてはいなかった。
「クィーンの力無くしてお前たちが闇に勝つことは出来ん。さぁ、クィーンを復活させてみろ」
少しイラつきながらも、口元を弛ませ勝ち誇ったかのように二人を挑発するバルデス。
全身ボロボロになり倒れ伏していた二人は気力を振り絞り、なんとか体を起こす。
「いや…よ」
「私たちは誰かの犠牲の上に成り立つ平和なんて欲しくない」
「自分たちの力で未来を切り開くって決めたんだから!」
「例えあなたたちに対抗する力が無くなっても、この気持ちだけは絶対に変わらない!」
「私たちは友達を!友達の笑顔を守るために戦っているの!だから、だから…!」
そう言い放つその瞳に宿る光は、まだ失われてはいなかった。
「くだらん…そのたった一人の友達とやらを守るためにこの虹の園に住む全ての人間が消えるのだぞ。そいつ一人を失うだけで何千、何万という人間を救うことが出来るんだぞ。それでもそんな友情ごっこを貫くというのか?愚かだ…まったくもって子供が考えそうな、実に浅はかで愚かな選択だ」
バルデスの再度の挑発にブラックは拳を握り締め答える。
「たった一人の友達も守れないでどうやってそんな大勢の人が救えると言うの!一番側にいる一番大切なものを守れないで、一体何が守れるというの!」
「ふっ、その場限りの何も見えていない者の理屈だな。まぁいい、これ以上敵に塩を送るような真似をしていても仕方が無い。 ならばいまここで全ての者たちと共に消え去ってしまえ!」
両手を天空に大きくかざすバルデス。
その後には天をも貫くほどに巨大、成長したジャアクキングの姿があった。
その圧倒的なまでの威圧感に顔を歪ますブラックとホワイト。
ここまでなのか、やはり気持ちだけでは勝てないのか
そう覚悟した二人の心に突然誰かの声が聞こえて来た。
「気持ちだけでは勝てないルル」
「「!?」」
「でも、より強い気持ちは人の心に共鳴を与え、やがてそれは一つの大きな力になるルル」
その心に響き渡る声に向かってブラックは問い掛ける。
「誰!?」
「これは…ルルン!?」
*********************
絶望の淵に立たされたブラックとホワイトを救ったのはルルンであった。
チェアレクトに眠る12のハーティエルと融合したルルンの奇跡によって、クィーンの力を持ったまま復活したルミナス。
クィーン復活をひかりの命を使わずに行えた奇跡が、ルミナスの姿を再び二人の前に表させることが出来たのだ。
「「ルミナス!」」
クィーンの力を感じ取ったジャアクキングは大地を震わすほどの咆哮を上げ、その拳を二度三度と三人に向けて振り下ろす。
寸ででそれを交わすブラックとホワイト、そしてルミナス。
「一人だったら挫けちゃうけど」
「二人だったら立ち向かえる!」
「三人だったら」
「「「絶対勝てる!!」」」
三人の心が一つとなって解き放たれた新エキストリーム・ルミナリオによってジャアクキングは虹の園から消滅した。
だがその時の凄まじいまでの爆発と衝撃はあたり一面のもの全てをも一緒に吹き飛ばしてしまった。
暗転としていた空と大地は本来の姿と色に戻っていったが、そこにブラックとホワイト、ルミナスの姿を見つけることは出来なかった。
********************
クラス担任であるよし美に読み上げられていく桜組卒業生の名前。
呼ばれた生徒はみな元気良く返事をし、壇上へと上がっていく。
そんな光景もついに最後の一人となった。
「もうもうもう卒業式終っちゃうね」
「………」
最後の生徒が賞状を受け取り、壇上を降りる。
と、ほぼ同時によし美は手に持った卒業生の名前の印刷された紙に軽く目をやってからマイクに口を近づけた。
ここまで言って一瞬言葉を止めた。
何かを感じているようだった。
唇はかすかに震え、その瞳は少し潤んでいるように見える。
そして意を決したように続きの言葉を紡ぎ始める。
「二名。これで三年桜組の卒業証書授与を…」
その時であった。
バーン!
講堂いっぱいに鉄と鉄がぶつかり合う激しい音が響き渡る。
何事かと音のした方を会場にいた全員が見やる。
その開かれた扉の光の中に立っていたのは。
「はぁはぁ、ま、間に合ったー」
「な、なぎさぁ、もう少し静かに、はぁはぁ」
お互いがお互いを支えあうようにしてそこへ立っていたのは、間違いなく行方不明だった美墨なぎさと雪城ほのか、そして九条ひかりであった。
「なぎさ!」
「雪城さん!」
「ほのか!」
「九条さん!」
「美墨さん!」
「ひかり!」
それぞれがそれぞれの名前を叫ぶ。
「はぁはぁ、ご、ごめんなさい、ちょ、ちょっと訳があって遅刻を…」
「す、すみません、はぁはぁ…」
「ごめん…なさい…はぁはぁ」
みんなはその三人の姿を見て唖然とした。
三人とも服はボロボロの泥だらけ。
髪もぐしゃぐしゃ。
さらには顔や手には無数の擦り傷切り傷、あざが浮かんでいたのだ。
しんと静まり返った会場。
「…あ、あれ? も、もしかして卒業式終っちゃった?」
皆の注目を浴びながらも、なんか場違いなところへ出くわしてしまったかのような気になり、そのリアクションにとまどうなぎさ。
居所なさげにしているなぎさの目の前に父の岳が立つ。
「なぎさ!お前!」
頭上高くバッと振り上げられる右手。
「!」
とっさに目を瞑り、首をすくめるなぎさ。
叱られる。
それもそうだ、致し方ないこととは言え一週間近く連絡もせず(したくても出来なかったわけだが)行方不明になっていたのだ、叱られて当然である。
そんな覚悟はしていたなぎさだったが、いざものすごい形相で手を振り上げる父の姿を目の当たりにしたらやはり恐怖も沸いてきたし、間違いなく叩かれるであろうその痛みに耐えるためにも体を竦めるしかなかった。
しかし、いつまで経ってもその体のどこにも痛みを感じることはない。
そっと目を開けてみるとそこには腕を振り上げたまま瞳から大粒の涙を流している父の姿があった。
「このバカ娘が…こんなに親に心配かけるなんて…本当に…本当に…」
と、次の瞬間ものすごい力で抱きしめられるなぎさ。
最愛の娘をその両の手に抱きしめながら父、岳は「この親不孝ものが…無事で無事でよかった…」とつぶやきながら強く強く抱きしめるのであった。
「お、お父さん…」
想像していたものとは違う父の姿になぎさも大粒の涙を流しながら
「ごめんなさい、心配かけてごめんなさい、お父さん」
と、ひたすらなぎさは謝り続けるのであった。
そして横でそれを見守るほのかの前にはさなえが立っていた。
「おばあちゃま」
「ほのかや、お帰り」
岳のそれとは違う言葉で投げかけられたやさしさに今度はほのかも涙を流しながら答える。
「ただいま…おばあちゃま」
家族っていいな
そんなことを思いながらその光景を見つめるひかりにも声をかける影があった。
「あんたも一体どこへ行ってたんだい」
「え?」
急に投げかけられた言葉に驚き、その声のする方を見ると、そこにはいつものバンダナにエプロン姿という井出達からは想像ができないほどにキッチリとしたスーツを纏った藤田アカネの姿があった。
「ア、アカネさん!」
「あんたはどうしてこう、いっつもいなくなって心配かけるかねぇ」
そんな強がりにも取れる言葉をかけながら、アカネの目にも大粒の涙が浮かんでいた。
「ア…アカネさん、わたしのこと…覚えているんですか?」
ひかりの不思議そうな表情と、問い掛けられた質問に一瞬何事か理解できなかったアカネであったが、
「はぁ?なに言ってんだい。あたしがひかりのことを忘れるわけないじゃないか」
「え…でも、闇の力の影響で…」
「闇?闇って?」
「あ…い、いいえ。あ…アカネさん、本当に本当にわたしのこと覚えているんですか?」
「おっかしなこという子だねぇ、まったく。どこでそんなボケ覚えてきたんだい。あ!なぎさか? まったくあの子はろくなこと教えやしないんだから」
「「ひかりー」」
「!」
アカネのその後からこちらへ駆けて来る二つの影。
バッとひかりに飛びついてくる。
奈緒と美羽であった。
「どこ行ってたのひかり!」
「すっごい心配してたんだからね!」
「奈緒…美羽…あなたたちも私のこと覚えててくれたの」
「「?」」
「なに言ってんのひかり。私たちがひかりのこと忘れるわけ無いじゃない」
「そうだよー。いつまで経っても友達のことは忘れないよ」
「とも…だち…」
そう呟いたその瞬間両手を口に当てるひかり。
そして堰を切ったようにとめどめもなく溢れる涙。
「わたし!わたし!」
泣き崩れそうになるひかりを抱きとめるアカネ。
アカネは強くしがみつくひかりをいとおしげに見つめながら、ただそれを笑顔で抱きとめてやり、やさしく頭を撫でてやるのであった。
「あなたたち、まったくなんて格好なの。女の子は身だしなみが大切よ。式はちょっとの間中断しますから早く着替えてらっしゃい」
よし美は三人に片目を瞑りながら着替えて来るように促した。
「「「はい!」」」
その言葉に笑顔でうなずく三人だった。
********************
行方不明だったなぎさとほのか、そしてひかりを改めて迎え、ベローネの卒業式は再開された。
「美墨なぎさ!」
「はい!」
呼ばれた声に元気よく返事をし、壇上へと登るなぎさ。
改めて賞状を手に持ち、目の前にいる我が母校の愛すべき生徒に声をかける校長。
「美墨なぎささん、三年生になってからはラクロス部のキャプテンとしてよく頑張ってくれました。あなたの努力と明るさはきっと後輩たちにも伝わって引き継がれていくことでしょう。これからも自分らしさを失わずに真っ直ぐな人生を歩んでいってください」
「はい!」
事前に練習したとおりに左に右にと手を差し出し証書を受け取るなぎさ。
保護者席では父、岳と、母、理恵が涙と笑顔でその姿を見ている。
「雪城ほのか!」
「はい!」
なぎさとすれ違うように今度はほのかが壇上に登る。
そして校長からの言葉を受けながら、なぎさのそれと同じように証書を受け取り、壇上を降りてくる。
階段を下りてきたほのかを待っていたのは、なぎさの暖かな手であった。
その手をとりながら最後の段から足をはずし、床に降り立つほのか。
その瞬間、会場全体から一斉に拍手が沸きあがった。
一瞬なぜだかわからなかった二人だが、互いの気持ちを確認し合うように顔を見合わせ、その拍手に笑顔で手を振った。
彼女たちへの祝福はしばらく鳴り止まなかった。
その中には見送る側のひかりの拍手も混ざっていた。
********************
式はその後予定通り執り行われ、一度教室へ集まってからの解散となった。
教室ではクラスメイトたちの学園や友達への想いを馳せた会話がそこかしこで聴かれ、そのたびに笑い声や涙まじりの声が聞こえて来ていた。
「じゃあまたね!」
そんな言葉をお互いに交わしながら教室から出て行くクラスメイトたち。
その姿を窓際から目で追いながら、なぎさは思っていた。
卒業は永遠の別れなんかじゃない、明日も明後日も、ううん、ずーっとずーっとみんなとはまた会うことができる。
「またね」は「また会おうね」なのだ。
それは決して悲しみの言葉なんかじゃない。
これからも永遠に続く出会いの言葉なのだ。
そう思ういまの自分の気持ちを何よりも強く信じるなぎさであった。
********************
みんなに遅れて教室を出、ベローネの門をくぐり抜けるなぎさとほのか。
いつもの通い慣れた坂道を通り過ぎ、沈む夕日が映える川沿いの土手を歩きながらなぎさは話し掛ける。
「ねぇ、ほのか」
「なぁに?」
「ホント、この二年間いろんなことがあったよね」
「ええ、本当にいろいろあったわ。なんかもう充分すぎるぐらい」
その表情には笑顔と共に違う表情も混ざっていた。
そして一瞬の沈黙の後、今度はほのかが口を開く。
「あのね、なぎさ」
「うん」
「あなたに出会えてわたし本当に幸せだった。この思い出は一生忘れないわ」
ほのかの言葉に含まれた一つ一つの単語がなぜか心に影を落としていったような気がなぎさにはした。
だがそう思いながらもなぎさはいつものように明るい笑顔で答えを返した。
「? あ、あは、あは、なに言ってんのほのか。そんなこと言われちゃうと照れちゃうよ〜」
くすぐったくて照れるような表情でそう言葉を返すなぎさであったが、ほのかは少し曇った表情でそれを受け止めた。
「…あのね、いままで言い出せなかったんだけど」
「ん、何?」
微妙な緊張感がなぎさを包む。
「わたしね、フランスに行こうと思うの」
「! え、それ…」
「お父様とお母様から手紙をもらっていたのよ。こっちへいらっしゃいって」
知らなかった。そんなこと一言も聞いたことはなかった。
「で、でもそれじゃ、ほのかと離れ…」
だがそこまで言って急になぎさは口を噤んだ。
「…?」
なぎさはほのかの瞳を見つめた。
ほのかもじっとなぎさの瞳を見つめ続けている。
コバルトブルーに輝くほのかの瞳。
シャイニーブラウンのなぎさの瞳。
お互いのその瞳の奥に映っていたのは一体なんだったのだろうか。
そしてなぎさは話を繋げた。
「なんでもない!」
「いいなぁー海外かーあたしんちなんかほらお父さんが技術系とは言っても普通のサラリーマンと変わらないような家でしょ!そんな海外に住めるなんて羨ましいなぁー ほのかはホント幸せだよねー」
いまのほのかの告白に対して言葉にして表さなければならなかったなぎさには、こうして適当に話をはぐらかすことしか出来なかった。
だが、互いの心に秘められたメッセージを読み合える二人にとっては、そんな言い方でも充分に気持ちを分かち合えることが出来た。
その言葉に無言でうなずくほのか…。
「フランスって遠いんだよねー」
なぎさは当り障りの無い話題を振ってみる。
「日本からだと大体9000キロ、飛行機で12時間ぐらいって感じかしら」
特に改めて調べていたわけでもないのにスラスラとそれに答えてしまうほのか。
いつもの会話だ。
「きゅ、きゅうせんきろ! あ、あはは、遠いなぁ」
ちょっと遠くを見つめながらそう答えるなぎさにほのかは語りかける。
「そうね、でも…」
そこまで言って、ほのかはなぎさの方を振り向き笑顔で言った。
「例え何千キロと離れていても、私たちの心の距離は…“0”よ」
「………ほのか」
「なぎさ、ありがとう!」
ありがとう。
いまのなぎさには笑顔で語ったほのかのその言葉に対して答えられる言葉はたったひとつしか浮かんでこなかった。
そしてなぎさは自分の口を使ってその言葉をほのかへと伝える。
なぎさ「―――――」
ほのか「!!」
その言葉は二人だけにしか聞くことの出来ない言葉であった。
そしていつもの分かれ道。
二人はどちらとも無く手を差し出し、そして強く強くお互いの手を握り締め、笑顔で言葉を交わすのであった。
「「またね」」
********************
―――――― 一年後
なぎさはベローネ学園の高等部へ進学し、相変わらずラクロスへ情熱を傾けていた。
ほのかが側にいないこと以外にちょっと変わったことと言えば、憧れの藤村先輩と正式に付き合い始めたことぐらいだった。
もちろんなぎさが勇気を持って告白したわけだが、そのきっかけを作るキューピットになったのが実は木俣くんだったりしたのは(木俣くん本人を含めて)誰も気が付いていなかったりする。
ほのかはフランスのハイスクールで勉学に勤しんでいた。
最初こそ言葉の壁に悩まされていたほのかだったが、持ち前の勉強熱心さとなぎさから貰った明るさでみるみるうちにここでも輪の中へと溶け込んでいった。
今度、学生主体の国際科学シンポジウムの席にてスクール代表として研究発表も行うらしい。
ベローネ学園の二年生となったひかりは奈緒と美羽の強い誘いもあって、いまはバスケットボール部に所属していた。
誘われた当初は、アカネに気を使い入部を悩んでいたのだが、アカネは「青春は一度きり!自分のやりたいことやりな!お店?ああ、大丈夫大丈夫!手伝ってくれる人が出来たからね」と笑顔で送り出してくれたのであった。
アカネのその左手には小さく輝く光があった。
こうして光の園のクィーンからも解き放たれたひかりは、いま強く一人の人間としての第一歩を歩み始めたのであった。
これでこの光の使者たちのお話は幕を閉じることとなる。
しかし彼女たちはいまもこの世界で行き続けている。
こうして出会えた私たちの心の中に生き続けている。
彼女たちが再び出会える日が来たとき、また新たな物語が紡がれていくのだ。
So Never Long Goodbye
人が彼女たちの歩みを忘れない限り、それは永遠に繋がっていく。
Thanks and
…I Love you
Forever